自動シャクリ機 Ⅱ

2016年1月1日

自動シャクリ機の2号機を製作することにしました。

 

コンセプトはコンパクトな形状、スッキリと収納でき、安価に仕上げる、です。

安価に仕上げると言っても、すぐ錆びたり故障するような部品は使わない。

 

自動シャクリ機の1号機は自動シャクリ機と言うものがどう言う物か良く分からず作りました。

まずモーター・ギヤユニットを製作し、それが入るボックスを選定し、それに合う竿受け部を製作しました。

その為ボックスが大きくなり高いアルミボックスを使うことになりました。

 

そこで2号機は必要な物が入るであろう最小限のボックスを選定し、そこにどう取り付けたり、組み入れたりするかを考えることにしました。

もしピッタリのボックスを製作しようとした場合、手間がかかり部品代も高くつき市販のボックスより高くついてしまうでしょう。

また速度の制御には可変巻線抵抗器は使わずPWMモータードライバーを使うこととします。

可変巻線抵抗器は構造がシンプルで頑丈で使い方も簡単ですが、意外と高価でエネルギーの利用効率も悪く負荷変動に弱い。

負荷変動に弱いとは、モーターに負荷が掛かると電流が増加し、その為可変巻線抵抗器の電圧降下が増加し、モーターへ印加される電圧が低下するのでモーターの回転速度が低下するということです。

つまり竿の上げ下げや竿の本数、長さによりスピードが変化するといううことです。

例えば竿を複数本セットして動作させている時、1本持ち上げると動作が遅くなったり停止してしまうことになるかもしれないということです。(バランス分銅で負荷が軽くなっている状態からバランスが崩れ負荷が重くなってしまうため)

 

その点PWMモータードライバーはエネルギーの利用効率が高く、負荷変動にも強く価格も現在では安価になっています。只過負荷には弱いのでその点に気をつけ保護回路等を設ける必要があります。

 

まずボックスをプラボックスの中から選定することにしました。

その方がアルミボックスより安いものがあると思うからです。

色々と観て回った結果プラスチック工具ボックスでいいのがありました。

  

プラスチックツールボックス M

 

幅 :485

奥行:235

高さ:240

材質:ポリプロピレン

価格:1180円

      【税抜)

 

このボックスなら何とか入りそうです。

安いのが決定要因です。

このボックスに組み込むことが、制約のある中で仕様を実現することがパズルを解くみたいで面白いと思います。

大体の構想ができていますので実現に向かってコツコツと今年の冬までのシーズンに間に合うように仕上げたいと思っています。

 

竿受け部の部品を製作しました。

 

一番右側の蝶番が付いたLアングルは1本物でもいいのですが、今回は端材を集めて接合して使い造りました。

 

材料は左から

L15×15×t1×50

L50×50×t3×50

角パイプ15×15×t1.5×135

L30×30×t3×175

蝶番 ステンレス64mm ×2

L30×30×t3×175

竿受け部の部品です。

 

上は竿のせ部

平板を曲げ加工、中心にM4皿モミ。

長さ30mmの角棒の両端にM4ネジ加工。

 

材料は上から

アルミフラットバー 20×t2×100

角棒 10×10×30

角棒 10×10×140 ×2本

角棒 10×10×165 ×2本

竿受け部をボックスに取り付けるための部品です。

 

中央の1番長い角パイプの1番上の穴はドライバーを貫通しM3皿ネジを回せるようにしてあります。

材料は左から

フラットバー 20×t2×60

角パイプ 15×15×t1.5×60

角パイプ 15×15×t1.5 ×100 これらを2組製作。

 

上の写真の部品をプラボックスに取り付けました。

ここに竿受け部を差し込みます。

竿受け部を組み立てました。

この状態が竿を載せる部分を折りたたんだ状態です。

竿を載せる部分はスプリングワッシャーを2段取付け、振動では動かないが手では回転できる程度にテンションを掛けてあります。

これが目一杯展開した状態です。

この中間の好きな位置で止められます。

ただ抜けてしまわないようにストッパーがかる様にしてあります。

 

真ん中は固定です。

回転もできません。

この状態は収納する時の形です。

 

ボックスに取り付けた状態です。

ただ差し込んでいるだけで固定はしていません。

 

竿尻を引っ掛ける部分を製作しました。

 

Uボルトを切断して使います。

 

Uボルトを取り付けるのにスプリングワッシャーを二重にして取り付けます。

 

材料は上から

ユニクロロングUボルト1/4×34/98  3本

角パイプ15×15×30       2個

Lアングル30×30×t3×175

アルミバー t2×20×30     2個

 

組み立てました。

 

竿保護の為Uボルトに熱収縮チューブをかぶせてあります。

 

加工したアルミバーはストッパーとして使います。

使用する場合は写真のように展開して使います。

Lアングルの上側はダブルナットでロック。

下側はスプリングワッシャーを2段にしてダブルナットで固定して振動では動かず、手では動かせるようにしてあります。

ストッパーを解除してスライド出来るようになっています。

PWMモータードライバーを組み立て、ワイパーモーターで動作実験をしました。

 

使えます。

 

これを改造して使用します。

 

 

PWM(スイッチング)方式DCモーター速度可変キット

 

可変範囲: 約2~99%

サイズ:  32×32mm

回路電圧: 5~15V

モーター電圧: 1~50V

価格:   500円

シャクリ機モーターを竿の最下降点で一時停止させる為のタイマー基板を製作しました。

 

PWMモータードライバー基板とタイマー基板を一緒に入れる為のプラボックスを用意しました。

 

TAKACHI

SW-120

W60×H24×D120

深溝の方に取り付け予定です。

今回もエスティマのフロントワイパーモーターを使います。

 

年式が新しくなっているのでモーターも小型化しており機構も違います。

ワイパーの駆動機構もとりはずして使います。

モーターに付いている金具を切断し穴加工をしました。

プラスチックギヤ  50Tをネジ止めしました。

 

モーターのマイナス極がモーターケースと繋がっているので、OVとの間でPWM駆動掃引すると全ての金属部分にPWM信号電圧が印加されるので電波障害になりかねず、場合によっては感電することもあり得るのでベーク板で絶縁します。

ベーク板80×100×t5を加工して取り付けました。

 

これによりモーターと他の機構部の金属と絶縁します。

ワイパー機構部を切断して使います。

取付け用の穴加工等を行いました。

プラスチックギヤ  95Tをt5のアルミ板を加工したものに取り付けました。

表から見るとこんな感じになりますが、取付け寸法があるのでこれを更に加工して使います。

基本的にはこのような感じです。


クランク部をt3アルミ板に取り付け、M4×20のスペーサ5個も取り付けました。

モーター側にもt3アルミ板を取り付けます。

クランク部とモーター部を合体させます。

ジュラコンスペーサ3.2×10mmを6個とt5アルミ板を加工したものを用意して高さ調整します。

50Tのギヤの取付けを今までプラスチックギヤに付いていた穴に合わせていたがしっかりと固定できない為に、金具に新たにメネジ2個をあけ取り付けました。

金具をギヤにひっくり返して取り付け、しっかりと固定しました。

これにより駆動時にギヤが変形しなくなりました。

ギヤを取り付けました。

またボックスに取り付けるためのLアングルt2×20×20を取り付けました。

横から見るとこんな感じ。

割と薄くコンパクトに組み立てられました。

 

上から見た図。

 

クランク側から見た図。

95Tギヤに3.2×5mmのジュラコンスペーサー4個を使いt3アルミを加工した円盤を取り付けました。

これは竿の早上げをさせるためのカムです。

同じように一時停止のタイミングを検出するドグを取り付けました。

マイクロスイッチも取り付けました。

ロングレバータイプで竿の早上げ位置を検出します。

ショートレバータイプで一時停止の位置(竿の最下降点)を検出します。

穴が2個あるアルミ板部分に制御基板が入ったプラボックスが収納されるようになっています。

ボックスにスイッチ、可変抵抗器を実装し配線を行いました。

PWMモータードライバー基板を改造しました。

FETをより高性能な低ON抵抗、大電流のNチャンネルMOS-FETの2SK2956に変更し、放熱器も取り付けました。

ダイオードD1はファーストリカバリーダイオードFR306-800V3Aに変更しました。

これらにより、より多くの電流が流せるようになるので余裕で使えるようになります。

基板用可変抵抗器を取りはずし、外付け可変抵抗器に接続します。

2つの基板をプラボックスに取り付けました。

この時基板の半だ面にはホットボンドを塗りコーティングしてあります。

錆びや結露による誤動作や故障を防止する為です。

プラボックスに端子台を取り付け配線をしました。

部品面にもホットボンドを塗り全体がモールドされるようにしました。

 

勿論動作確認を終えた後です。

モーターユニットをボックスに取り付け、配線をしました。

上部の白い筒はヒューズボックス5Aです。

 

制御ボックスと放熱器が右手前に見えます。

ボックス内の横から見た図。

ワイパー駆動機構のリンク部品を切断して使用します。

切断した部品を加工しました。

リンクロッドも使いますが、長すぎるので短く加工します。

50mmほど短くして使用する為に切断しました。

Φ10アルミ丸棒を中に入れ、これで接合します。

接合完了。

 

丸棒にM3ネジ穴をあけM3×12ネジで止めました。

 

プラボックスの蓋にリンクロッドを通す為の穴をあけました。

リンクロッドを通しました。

M6ネジをノブに組み込みこれでリンク機構を取り付け、簡単に外せるようにしました。

 

竿載せ部はただ差し込んであるためにガタガタするため、パチン錠で片側に寄せ固定できるようにしました。

バランス分銅を取り付けるための15㎜角のパイプを通す為の角穴を開けました。

竿を引っ掛ける部分のLアングルにも同じサイズの角穴を開けました。

10mm角のアルミ角棒にM3のネジを取り付け竿引っ掛け部が固定できるようにしています。

手前から見るとこのようになり、この角穴に15mmの角パイプが通せるようになります。

リンクロッドを通す穴を厚さ1㎜のゴム板でふさぎました。

ただスリットを入れ、動作が可能なようにしています。

バランス分銅を取り付けるバーを製作しました。

15×15×t1.5の角パイプに10×10の角棒を通し抜けないようにストッパーをつけ分銅を掛けるフックを付けました。角パイプには引っ掛けるための溝を付けました。

バッテリーを載せるためのLアングルを製作しました。

バッテリーが動きすぎないように4×10のスペーサーを付けました。

ケースに取り付けるためのネジでゴム足も共締めします。

プラボックスの底にこのように取り付けました。

このLアングルの間にバッテリーを置きます。

 

プラボックスの底裏にはゴム足を8個取り付けました。

 


2016年7月10日

モーターに取り付けてある50Tのギヤが高負荷を掛けるとギヤが変形しかみ合わせが外れ滑るのでギヤを交換しました。

50Tの物は元々タイミングベルト用のプーリーであり使えるかなと言う疑問を持ちつつも模型店でこれしかなくピッチが合って安かったので購入しました。

しかし実際に負荷を掛け動作確認をしたところ使えないと分かったので正規のギヤを購入することにしました。

 

キャストナイロンスパーギヤ46Tです。

青木精密工業製

 

モノタロウで購入しました。

リーマで穴をテーパーをつけ拡張しました。

ナットを締めて圧入し固定しました。

竿載せ部の完成状態です。

これで作業はほぼ完了です。




完成  2016年7月

持ち運び時の形状です。

上から見た図です。

 

幅 485+15(突起部)= 500

 

奥行 235

 

横から見た図

 

高さ 240+20(突起部)=260

前から見た図

 

 

後ろから見た図

 

操作部です。

主電源スイッチ:

一時停止:竿の最下降点で0.1~10秒停止

主:竿の上昇/下降スピードを可変

早上げ:竿の上昇時のスピードを早く出来、可変できます。

蓋を開けるとこのようになっており全て入っています。

バッテリーを置いたまま出し入れ出来ます。

バッテリーキャップを外し、クリップでターミナルを掴み電源を接続します。

リンクロッドを表に出しボックスの蓋をします。

中に入っていたものを出すとこうなります。

竿載せ部を設置しノブ付きボルトを締め、リンク部と結合します。

竿を引っ掛ける部分をスライドさせ、レバーでロックします。

竿引っ掛け部を転回します。

竿載せ台を展開します。

パチン錠で竿載せ部を固定します。

バランス分銅バーを取り付け分銅を吊り下げます。

バーを引き出せば竿の本数、長さの変化にも対応して簡単にバランスが取れモーターの負荷を軽減できます。

それがバッテリーの減りも緩やかに出来ます。

竿載せ台と竿引っ掛け部は置いた竿の角度に合わせ、角度を調整します。

手前から見るとこのようになります。

竿尻が一番上に上がった状態。

つまり、竿先が一番下がった状態。

組み立てた状態でも竿引っ掛け部をスライドさせれば持ち運び可能です。

 

釣り場の移動には楽です。


2016年12月4日 制御回路改造

試運転の結果、速度を最低に設定しても動作が速すぎるので改造することにしました。

竿の早上げ機能の為、通常の速度から早くなるように設計している為、PWM周波数があまり変化しないように最低速度が半分になるように設計したために起こった現象です。

そこで通常時と早上げ時とそれぞれ個別に速度設定できるように設計変更しました。

それぞれ2~99%の速度可変が出来ます。

従って早上げだけでなく遅上げも出来るようになりました。

ただこれに意味があるか分かりませんが。

 

PWM周波数は15KHz~20KHzに変化します。

ボリュームの定数を変えただけで部品の追加は無く、回路変更だけで出来ました。

 

これで自由で思い通りの動作が出来るようになりました。